ダンレイのお客様であります三菱電機株式会社様の「家庭用エコキュートPシリーズ」が『2020年度省エネ大賞<製品・ビジネスモデル部門>資源エネルギー長官賞(家庭分野)』を受賞されました。そこには当社の世界初の新方式樹脂製逃し機構付き減圧弁が搭載されております。お客様の省エネ化への想いが詰まった素晴らしい製品に当社の減圧弁が微力ながらも貢献出来たことを大変嬉しく思っております。この新しい減圧弁は、開発の仲間、全ての部門の方々の協力、そして何よりともに課題解決に尽力してくださったお客様とたくさんの壁を乗り越えて製品として送り出すことが出来ました。その世界初の減圧弁を製品化するまでの挑戦し続けた約2年の月日を開発Tのメンバーに振り返ってもらいました。

技術部 開発G 開発3T

『サイズを変えずに機能を増やせ!!』

~2つの機能を1つの製品に 世界初への挑戦~

Q1. まずは世界初の製品に挑戦することになった経緯を教えてください。

近年、ZEH推進、トップランナー制度の観点からエコキュートは省エネ化が求められている中、その向上策の一つとして沸き上げ時の低温膨張水排出という機能があります。低温膨張水排出機能はエコキュートのわき上げ時における膨張水の排出をお湯の状態ではなく水の状態で排出できるため、給湯器としての熱ロスが少なく省エネ性が非常に高い機能といわれております。しかしながら、従来のシステムでは膨張水を排出するための逃し弁を2つ搭載しなければならず、またそれに付属する配管等のコストアップが避けられない状況でした。そういった背景もあり、当社では従来型の減圧弁に逃し機構を組み込み一体化とした逃し機構付き減圧弁の開発がスタートしました。

Q2.一番苦労したことは何ですか?

逃し機構付き減圧弁は従来の減圧弁とほとんど変わらないサイズで逃し機構部を内蔵しなければならないため、今まで以上に内部部品の寸法精度が要求されます。また、製造上、小さい部品を複雑に組み合わせる必要もあり、形状の検討については試行錯誤の繰り返しでした。金型試作品完成後も、切削の試作品ではうまくいっていたものが樹脂成形品では思うような性能がでない等、一つの部品の寸法ばらつきだけで性能が左右されてしまうこともありました。

構造的に変更しなければ性能が成り立たないケースもあったため、すぐに関係者と打ち合わせ、時には社長にも参加いただき、夜通し知恵をだし合って改善に取り組んだこともあります。そのような中でもお客様は私たちの課題に対して決して蔑ろにせず真摯に向き合ってくださり、いろいろな面でご協力いただきました。開発には様々な苦労はありましたが、その甲斐もあって逃し機構付き減圧弁に関する独自特許を2021年6月時点までで5件申請することができました。

Q3. 最後に今後の技術部開発Gの展開を教えてください。

まずは、給湯機業界の省エネ化に貢献できる製品を開発できたことが何よりうれしく思います。この逃し機構付き減圧弁は、2つの圧力制御機構を有していることからユニットの省スペース化という観点からみると、給湯機器のみならず、さまざまな分野の機器にも搭載するメリットがあると自負しております。今後も新しい技術への挑戦を怠ることなく、お客様に認めていただける製品を提供していきたいと考えています。